皆様ご機嫌いかがですか?

今年もまた初夏の英国を旅して参りました。
帰国して早くも1ケ月が過ぎてしまいました。
今日からまた少しずつ旅の様子を皆様へレポートいたします。

写真を見るたびに楽しくおかしかった事柄がよみがえります。
どうぞ皆様もご一緒に旅の思い出をお楽しみくださいませ。

2014年7月13日 荻野洋子

       
 12時間の空の旅も終わりヒースロー空港の
上空に到着しました。
私たちが到着する2〜3日前までイギリスの
お天気はほぼ毎日雨。
5月は2日しか太陽を見ることが
できなかったそうです。
 今回のロンドンの滞在地は北西部の
Hampstead(ハムステッド)。
いつもこちらの街で定宿にしている
AnnemarieとJimのゲストハウスへ参りました。
 ハムステッドはロンドンで
一番古い高級住宅地です。
周辺の家も古く美しい邸宅ばかり。
どこを撮っても絵になりますね。
 建物をより美しく見せているのは
窓の形と取り付け方でしょうか。
北に住む人々の知恵が縦長窓に象徴されています。
機能とデザインが一体となり
より素敵に見えます。
 
 Hampsteadの街にはヒースと呼ばれる
広大な緑地帯が控えています。
町全体が小高い丘に位置しているので
ヒースからロンドンが一望できます。
 長く暗い冬の後に訪れる夏の美しさを
ヒースでめいいっぱい楽しみます。
ハイシーズンは11時頃まで明るいので
仕事帰りの人々がくつろぐ姿を見かけます。
ブリジットジョーンズダイアリーという
ロンドンの働く女性が主人公の小説でも
ハムステッドヒースは彼女たちの
憩いの場として登場しておりました。
 この街には著名人も数多く住んでいます。
ゲストハウスの近くには
キーツハウスと呼ばれる博物館があります。
早世した天才詩人キーツも
晩年にこの地で暮らしました。
 キーツハウスは彼が滞在していたときのまま
保存されています。
隣接の建物は現在図書館として
開放されています。
 今回の旅をごいっしょする渡邊さんご夫妻。
ご主人の渡邊氏は私の高校の大先輩です。
 杉山笑美子さんと八木芙美子さんは
高校の同級生同士です。
おふたりとも英会話を
熱心に学ばれております。
今回の旅では会話力を試すことも
目的のひとつです。
 八木さんのお嬢さんはロンドン在住です。
早速お母様に会いにきてくださいました。
今日は1日ご家族でロンドン
観光をすることになりました。
 イギリスの朝食といえば
卵にベーコン&ソーセージのヘビーな
印象ですが最近はバリエーションに
飛んでいます。
ヨーグルトや野菜サラダ付きの
ヘルシー志向のものもメニューに登場してます。
 
 八木さんと杉山さんと別れ渡邊さんご夫妻と
ビートルズ縁のアビーロードへ
行ってみました。
空港からハムステッドまで
車で向かうときいつも前を通っていたのですが
ちゃんと訪ねるのは初めてでした。
地下鉄とバスを乗り継いで
アビーロードスタジオへ。
私たち同様にビートルズファンが
たくさん来ておりました。
ビートルズファンは不滅ですね。
 アビーロードスタジオの前で記念撮影。  有名な横断歩道もちゃんと渡りました。  ハムステッドへの帰路はLittle Venice(リトルベニス)から
船で帰ることにしました。
運河の中をナロウボートでのんびり景色を見ながら
Camden(カムデン)まで30分ほどの旅です。
 Little Venice(リトルベニス)の船着場。
観光客が乗船を待っていました。
カムデンロックまで片道8.9ポンド(¥1700位)。
少し高いですが
旅の思い出にぜひお試しください。
この運河は産業革命のころ物資の
輸送路として大活躍しました。
その後鉄道の敷設が進み
いつしか忘れ去れたそうです。 
船はウエストエンドの高級住宅街を横目に見ながら
途中ロンドン動物園で停車し
カムデンまでゆるゆる進みます。
 カムデンロックに到着。
復路のお客を乗せてまた
リトルベニスへ戻ります。
 毎週日曜日に大きな市が立ちますが
平日でも露店が並びにぎわっています。
お土産に地元のアーティストが作ったお茶帽子
やラベンダーサシェを購入しました。


Camden(カムデン)からHampstead(ハムステッド)まで地下鉄で戻ってきました。
今回私が滞在したお部屋がユニークだったので皆様へご紹介しますね。

       
 Hampstead Guest House
(http://www.hampsteadguesthouse.com/rates.htm)
を経営するAnnemarie&Jim夫妻とは
20年来のお付き合いです。
初めて訪ねたときインテリアの
ユニークさに感心しました。
各部屋ごとに色のテーマが決まっており
テーマカラーで部屋が整えられていました。
 私がとまった部屋は
半地下部分の小さな部屋でした。
母屋の玄関と異なるジャンクな雰囲気の
専用エントランスから入ります。
 ホールから続くドアを開けると
この部屋が赤の部屋であることに気づきます。
 地下のベッドルームなので高い位置に窓があります。
シェードはもちろん赤です。
上階より部屋の温度が低いので
暖色が選ばれたのだと思います。
     
 小さなテーブルと椅子がアットホームな雰囲気。
いつものことですがここでは
我が家のようにくつろげます。
全館WIFIがつながるので毎晩帰宅後は
このテーブルで仕事をしました。
 コーナーにしつらえられた手洗いシンク。
赤いバスケットの上に赤いゴムの
湯たんぽがおかれていました。
半地下なので夜は冷え込みます。
毎晩使わせてもらいました。
 イギリスではどんなところへ泊まっても
必ずお茶やビスケットが備えられています。
 Annemarieの家には楽しい生活道具が
そこここに見られます。
これはいつか真似しようと思っている
ごみバケツでつくられたストーブです。


翌日は土曜日。朝のポートベローマーケットへ出かけました。

     
 地下鉄Nottinghill Gate(ノッティングヒル)駅に到着。
もうすでにたくさんの人たちが
マーケットの方向へ向かっています。
 東京の渋谷や新宿のような人ごみでした。
よく耳をすますと多国籍な言語が
とびかっていることに気づきます。
一緒に行動するとはぐれてしまいそうなので
待ち合わせ場所を決めて自由行動にしました。
 ロンドンは公共の乗り物が充実しています。
一日券を購入し地下鉄とバスを使うことをお勧めします。
また近年レンタルバイクもよく見かけます。
       
 蚤の市ではアンティークのみならず
野菜や果物も安く販売されています。
珍しい野菜に釘付けでした。
 お花も種類が多く安価。  この美しいデザート用のナイフとスプーンのセットは
1920年のものだそうです。
もち手がベークライトでできていました。
旅の思い出に購入しました。
 可愛い雑貨やさんや洋服やさん
も軒を並べています。
今年の流行のドレスの形は襟ぐりの詰まったシンプルな
スタイルです。

       
 ロンドンではあちこちの街角で
ストリートミュージシャンを見かけます。
彼はポートベローロードの中心部で
サックスを演奏していました。
ジョニーディップに似たハンサムな青年のせいか
周りを若い女の子たちが取り巻いていました。
 この街には専門書のみを扱う本屋さんがあります。
こちらはCOOK BOOK SHOP、
お料理の本のみを取り揃えています。
 店内には小さなカフェコーナーが設置されており
お買い物に疲れたお客様たちを癒してくれます。
 大きなチョコバナナケーキで癒されました!
       
 午後遅くハムステッドへ戻りこれから荷物を持って
車で南のRYE(ライ)へ向かいます。
3日間お世話になったお礼と言って
杉山さんと八木さんがゲストハウスの人たち
のために
歌を歌ってくれることになりました。
 ゲストハウスのフロントガーデンが
急遽ステージと観客席になりました。
 杉山さんはいつもバックの中に
ハーモニカを入れています。
地元のコーラス部に所属している八木さんは
美声を聞かせてくれました!
 ブルガリアから仕事で来ているIVOたちも大喜びでした。
スマホで動画を撮って皆に見せてくれました。
明るい旅のお仲間たち。
本当に私も感動しました。


Londonから高速道路M25を通って南のRyeへ向かいました。
夕刻Ryeへ到着。陽が高いので車窓からの景色も十分楽しめました。

       
 今回のRyeの宿泊地は
タウンセンター内の古いコテージ。
 Wellington(ウェリントン)cottageは
築300年の古い家です。
手描きのネームプレートがつけられているのは
陶器の町、Ryeならではです。
 内部は狭いけれど居心地よく整っております。
ホテルとまた異なり家に帰ってきたような
気分になりますね。
 キッチンは小さいけれどオーブンも
ディッシュウォッシャーも完備しており
地元の食材でお料理もできます。
長期滞在をするのならコテージを
借りることをお勧めします。
       
 翌朝は快晴でした。
Rye StationからLondonまで
途中乗り換えもありますが2時間ほどです。
 アウトドア派の渡邊さんご夫妻は
電車にのってEastbourne(イーストボーン)へ。
白い断崖絶壁で有名な
セブンシスターズのハイキングに出かけました。
 私たちは残ってライ散策をします。
丸い砂利を敷き詰めた路はライが
港町としてにぎわっていた中世の頃
荷車が坂を滑らないように作られました。
その上を歩くと足の裏のマッサージになります。
 マーメイドインは中世時代はお酒の密輸人たちの
たまり場でした。
海から運河を通りこの建物の地下まで
船で通っていました。
またこちらはゴーストが現れることでも有名。
私も泊まったことがありますが
残念ながらゴーストには会えませんでした。
       
 マーメイドストリートを上りきると
教会にたどり着きます。
 ライの街は街ごと文化遺産として保護されています。
建物の外観を変えることはできませんが
ドアは付け替え自由。
素敵なドアにたくさん出会いました。
 小さな玄関庇にはバラがもりもりに茂り
エントランスの雰囲気を引き上げています。
赤いドアの色に感心しました。
イギリス人は赤の使い方が上手ですね。
 ライはアンティークの街です。
早速アンティークショップへ出かけました。
       
 夕方4時に全員集合。
ライでいつもお世話になるMrs. Ann Lingardの
お庭でお茶会です。
 Annが皆のためにお茶の支度をしてくれました。  典型的家庭のアフタヌーンティ。
スコーンの他にビクトリアスポンジと
ティーケーキを出してくださいました。
 明るくて誰とでもお話ができる杉山さん。
Annともすぐに仲良しになりました。


翌日の朝、渡邊夫妻は電車でロンドンへ戻り、杉山さんと八木さんは私といっしょにCotswolds(コッツウォルズ)へ。
行きがけにちょっと寄り道をしてDerek Jarman(デレクジャーマン)の庭を見に行きました。

       
 小石の浜に作られたお庭には夏の花がいっぱいでした。
何度訪れてもこの庭のユニークさに感心します。
よく作ったなーと思います。
 原種のポピーやジギタリスが元気よく
伸びている姿を見て
植物の順応性にあらためて感心。
 小山になっているのはサントリーナとハマナスです。
お水がほとんどないでしょうにすごい生命力ですね。 
デレクジャーマンの庭は近年多くのガーデナーたちに
注目をされています。
この近隣で小石の浜に似たような
庭造りを始めている人々に出会いました。
 ここでもまたひとり知人が増えました。
       
 夕刻までにコッツウォルズ近くの街に到着。
若いご夫婦の経営するゲストハウスに宿泊しました。
この写真はゲストハウスの前の家です。
ドアの並び方が素敵でしたので
思わず写真を撮りました。
 今日のお夕飯はスーパーの中にある
デリコーナーで求めました。
どれもすごく美味しそうなので迷います。
 イギリスを旅しているとよくこういう
サインを見かけます。
これはPublic Footpath(みんなの小路)。
田舎だけでなくロンドンでもよく見つけます。
 どこまで続くのでしょう?


今日はガーデンツアーの日です。早速朝一番にご近所のKenilworth(ケニルワース)城を訪ねました。

       
 Kenilworth Castleは何年も廃墟のまま保存されています。
内部は広く中世の頃のお城の形を垣間見れます。
現在は広大な敷地の中にレストランや
おみやげ物やさんが設置されガーデンウェディングなど
にも利用されています。
 この城はエリザベス一世の愛人だった
ロバートダドリー卿の城でした。
女王のために優雅な城をつくり彼女を迎えたと言います。
敷地の中には
Elithabathan Garden(エリザベスの庭)がありました。
 エリザベスの庭は最近になって改修されたのでしょう。
まだ植物たちは十分育っていませんでしたが
これからハーブの
ノットガーデンになることが分かります。
 これからChipping Camden(チッピングカムデン)近くの
有名な二つのお庭を訪ねます。
       
 Kiftsgate Court Garden
(キフツゲートコートガーデン)は親子3世代に
わたる女性たちが作った庭で有名です。
彼女たちは傾斜地を利用し遊び心と
アートいっぱいのお庭を作りました。
 お庭散策の前に併設のティールームで
お昼ご飯にします。
ケーキやサンドイッチなど簡単なものが
お茶といっしょに出されます。
 この日のランチ。
チキンレバーパテのプレートに生野菜とピクルスの
盛り合わせでした。
お茶は濃いめのイングリッシュティー。
 Kiftsgate Court Gardenのマナーハウスには
現在オーナーのAnne Chambers(アンチャンバース)さんが
ご一家でお住まいです。
彼女は庭造り3代目当主です。


       
 Kiftsgate Gardenの中で一番新しく作られた
Water Garde(ウォーターガーデン)です。
ここにはもとテニスコートがありました。
3代目のAnne Chambersが水の庭に変身させました。
白、黒、グリーンの3色のみを使った
モダンなデザイン。
正面に小さく見えるのはブロンズの葉です。
風で葉がゆれるたびに葉陰が水面に写ります。
 Lower Gardenへ続くステップの間にも
ボーダーになる夏の花が見られます。
女性ガーデナーのデザインなので
ディテールが細やかです。
 Lower Gardenには2代目のDiany Binnyが作った
半月形のプールがあります。
プールの前に立つとコッツウォルズの丘陵が見渡せます。
 Kiftsgate Court Gardenでは3代にわたる
家族のライフスタイルとセンスが垣間見えます。
豊かな暮らしが何かを感じる庭です。
       
 こちらはお隣の庭、Hidcote Manor Garden。
現在はナショナルトラストが管理しています。
 蜂蜜色のライムストーンの建物が迎えてくれます。  Kiftsgate Gardenとまた異なる庭です。
こちらは20世紀初頭にアメリカ人ガーデナー
Lawrence Johnston
によって作られました。
 お庭は25の異なるスタイルとキャラクターを持ち
ひとつずつ生垣で区切られています。
イギリスのコテージガーデンの集大成ですね。
     
 広大な敷地をすべて歩いてみようとすると
1日はたっぷりかかります。あちこちに休憩場所も設置。
 ヒドコートマナーの鳥。
イチイの木で作られたトピアリーです。
装飾庭園の典型として
当時盛んに作られました。
 ガーデントリップの楽しみの一つは
庭内のカフェでのお茶です。
早速クリームティーを頂きました。
 今日も1日よく歩きましたねー。


Londonへの帰路でウィリアムモリスの館、Kelmscott Manorへ立ち寄りました。

       
 ここはOxford近郊へ来ると必ず
立ち寄る家になりました。
季節によって全く異なる
表情を見せてくれます。
 昨年の秋に真っ赤だった
ヴァージニアクリーパーもこの通り。
 イギリスの原種の草花を大切にした
モリスらしいシンプルな庭です。
 この庭園がコテージガーデンの基本となり
後に続くガーデナーたちのバイブルになりました。


翌朝、朝食の後でヒースロー空港まで杉山さんと八木さんを送ります。お二人は1週間の旅を終えて先に帰国の途に着きます。
私は渡邊夫妻と共にもうしばらく旅を続けます。

       
ヒースローは世界一発着便が多い空港です。
多国籍な人々による様々な言語が聞こえます。
近年は日本の観光客が少なくなり
中国の人々が目立つようになりました。
渡邊夫妻とともにPaddington(パディントン)
から夜行寝台列車に乗って
イギリス最南西部のコーンウォールに
向かいます。
Night Sleeper(夜行寝台車)の予約をすると
ファーストクラスラウンジが使用できます。
FREE WIFIも設置してあるので仕事はもちろん
真夜中の出発までの間ここでのんびりくつろげます。
ラウンジではフルーツやスィーツをはじめ
各ドリンクのフリーサービスを受けられます。
       
 真夜中の11時50分出発の寝台列車の中は
狭いけれど快適な個室でした。
お掃除が行き届きぱりっと糊のきいた
リネンのかかったベッドも寝心地満点でした。
 窓際の机の天板を持ち上げると
下はシンクになっております。
お水はもちろんお湯も
ふんだんに出るので
シャワーがなくても快適です。
 出発時にオーダーしておいた朝食は
到着1時間前に届けられます。
私は軽めのコーンフレークをお願いしました。
熱いミルクティーが目を覚ましてくれました。
車窓からコーンウォールの景色が見えます。
もうすぐ海岸線を走ります。
 朝8時にPenzance到着。
駅からSt. Michael's Mountが見えます。

Penzance駅で車をピックアップし早速Open Air Theatreを訪ねました。

       
 今から80年ほど前にイギリス人女性、
ロウィーナケイドの発案で作られた野外劇場、
Minack Theatreはコーンウォールに来ると
必ず訪ねる場所になりました。
 初めて訪れたときこの場所の景色と
劇場のユニークさに圧倒されました。
 ここは第一次世界大戦後にロウィーナが
母親といっしょに住んでいた場所でした。
シェークスピア好きだった彼女は
シェークスピアシアターとしての劇場を
作ることを決心しコーンウォールの花崗岩の
傾斜地を手作業で掘削しながら
ステージと客席を作りました。
 1932年の初演はシェークスピアの
テンペストでした。
座席の背もたれに演目と年代が刻まれており
何年に何が公演されたかが分かります。
       
 朝早く訪問したので私たち以外にお客様は降りません。
観客席のみならずステージも見学させてもらいました。
 シアターの入り口の見晴らしのよいカフェで休憩。
イギリスのケーキは大きいですね。
お茶もポットでたっぷりです。
 コーンウォールの気候に合う植物で作られた庭園。
以前訪れたときより広くなっていました。
少しずつ進化しているのですね。
 ミナックシアターから西の海岸線を歩いて
最南西端のLand's End(ランズエンド)まで
ハイキングをしました。
       
 シアターからランズエンドまでは距離としては
6〜7キロくらいですが海岸線のコースを登ったり
下ったりしながら歩くと
2時間半から3時間くらいかかります。
景色も美しくものすごく気持ちよい
のでお勧めです。
 地元の人々が犬のお散歩をしていました。
こんなところを歩けるわんこたちは幸せですね。
 ようやくたどり着きました。
Land's End(地の終わり)という名前ほど
ロマンチックな場所ではなくて
ちょっとがっかりしましたが、
ここでもカフェに入ってティータイムを楽しみました。
 海に囲まれたコーンウォールはその地形の
ユニークさと
美しさでイギリス人たちの憧れの地です。
近年はロンドンから永住を決めた
アーティストたちが続々移住してきてます。


St. Ives(セントアイブス)は昔は猟師たちの町でした。
現在ではBernard Leach(バーナードリーチ)を始め著名なアーティストたちがここに居を構え活動をしたことで有名な街となりました。

       
 ペンザンスから車で15分ほどで到着。
海辺の町らしく明るく風通しのよい
のびやかな所です。
 LondonのTate(テートギャラリー)もこちらに
美術館を作りました。
ロンドンのみならず地元のアーティストたちの
作品も多く見られます。
建物の前に海が広がっております。
最上階のカフェは見晴らしよくお勧めです。
 セントアイブスで仕事をしたアーティストのひとり。
Barbara Hepworth(バーバラヘップワース)は
ヘンリームーアとともにイギリスを代表する彫刻家です。
彼女の自宅は現在美術館になっており
作品を多数見ることができます。
なかでも庭園内に作られたギャラリーでは大きな作品を
見学できます。
こちらもお勧めです。
 日本人にとって馴染みぶかい陶芸家、
バーナードリーチ。
彼が日本人陶芸家の濱田庄司とともに
仕事をした家です。
       
 彼らがセントアイブスに移ってきたのは1920年でした。  1922年からLeach Pottery(リーチポタリー)を開設。
日本式の登り窯をつくりせっせと製作活動をしました。
 Leach Potteryは今でも作陶しています。
昔と変わらず手作業で作り続けています。
 家の周りに何気なく置かれていた壷も素敵でした。
アートは存在するだけで周りの
景色を引き上げますね。
       
 ギャラリーのなかで見つけた面白いお人形。
リーチのお弟子さんが作ったそうです。
こちらの裸の大将のような人は濱田庄司氏とのこと。
お顔がそっくりで笑ってしまいました。
 こちらはバーナードリーチです。
ギャラリーでは彼の仕事をしている様子が
ビデオで上映されていたので
彼のお顔を拝見しました。
丹精な顔立ちの紳士でした。
 こちらはリーチの妻のジャネットです。
アメリカ人女性だった彼女はリーチポタリーの経営に
手腕を振るったそうです。
アメリカ人らしく師弟の上下関係を廃し
若いアーティストたちの才能も
積極的に受け入れたそうです。
 コーンウォールにきたら必ず食べたい
コーニッシュパースティ。
パイの生地の中にジャガイモベースの
フィリングが入っています。
以前はひとつ200円くらいでしたが
今は600円近くになっていました。
インフレなのですね。


コーンウォールの旅からLondonへ戻り今回のツアーも終わりが近づきました。

       
 コーンウォールで滞在した小さな村のホテルです。
村のパブもかねています。
昨夜は夜遅くまでにぎやかでしたので
朝8時でも誰も起きてきません。
今日は午前中の電車でロンドンへ戻ります。
 村の周りには夏の花々が咲いています。
この時期のイギリスはどこへいっても
お花でいっぱいですね。
 車中で出会ったスタッフォードテリア。
ご主人様の足元にお行儀よく座っていました。
この国ではレストランや電車でよく
犬連れの人々を見かけます。
きちんと躾され優雅に主人を待っている姿
には脱帽です。
 パディントン駅へ戻ってきました。
行きは寝台特急で快適でしたが帰りは途中で工事のため
迂回路を通り大幅に遅れました。。。
週末は工事が集中するので
電車はよく遅れるそうです。


旅の終わりに印象深かったお庭を紹介いたします。

       
 Rye Harbor(ライハーバー)は自然保護区として
野生の鳥たちが多数生息しています。
海辺の浜に建つフィッシャーマンズコテージは
今では都会の人々の別荘やまたは
引退した人々の終の住処になっています。
 今日は友人からオープンガーデンに誘われ
ライハーバーを訪ねます。
小石の海岸沿いの道を歩いていると
こんな景色にも出会いました。
ケントやサセックスはサラブレッドの産地。
美しい馬をよく見かけます。
 小石の浜に続くお庭には土の面影はなく
歩いていると足がざくざく小石の中に
入ってしまうような地盤でした。
私達が着いたときにはもうたくさんの
ゲストがお庭散策をしていました。
 小石のお庭は以前紹介したDerek Jarmanの庭
を彷彿とさせます。
海のオブジェの使い方もうまいですね。
       
 お庭の中央にフォーカルポイントがありました。
1メートルほど掘り下げ
サンクンガーデンができていました。
 サンクンガーデンの真ん中に小さな噴水が見えます。
ぐるりと座れるベンチの中心に
バーベキューコーナーがあります。
ここなら風の心配なくお食事が楽しめそうですね。
 乾いたお庭にふさわしい乾いた植物たちが
もりもりに植えられています。
 お庭と隣地のボーダーにはサントりーナが
よい香りを届けています。
外は一面の小石の浜です。

イギリスを訪ねるたびに感心することのひとつにお年寄りが元気だということです。
歳だから。。という言葉を聞いたことがあったかしらと思います。
このお庭を作っているカップルも二人合わせた年齢は150歳を超えます。
もちろん体の動きは若い人々にかなわないけれど人生へのパッションを持つ気持ちは同じとのこと。
人は皆歳をとるけれど心はいつまでも若々しくありたいものですね。

さて、今回の旅のお話も今日で終わりです。
長い間お付き合いいただきありがとうございました!

2014年8月17日
荻野洋子